<第百一回:問題と解答>
[出題日:2003.5.19(月) 解答発表日:2003.5.23(金)]
[問題]
Aさんが亡くなりました。遺産は土地、株券、預金があり、相続人は長男、次男、三男の3人です。遺産の分割協議を進めていたのですが、先日、遺言書が見つかりました。それによれば、「土地を長男に、株券を次男に、預金を三男に譲る」とのことでした。
兄弟で話し合い、各人のメリットを考えて、結局、土地を次男が、株券を三男が、預金を長男が相続することにしました。遺言書の内容と異なる形での相続になるのですが、このとき、課税関係はどのようになるでしょうか。次の中から選んでください。
@遺言書に関係なく、遺産を各兄弟が実際に取得したとおりに相続税が計算、課税される
A遺産の実際の取得の仕方に関係なく、遺言書の通りに取得したものと仮定して、相続税が計算、課税される
B遺言書の通りに取得したものとして相続税が課税され、さらに、兄弟間で各々への贈与があったものとして贈与税も課税される
<出題者:ぽー>
[正解]@
遺言により財産を無償で贈与することを遺贈といい、本問のように特定の財産を指定して行うものを特定遺贈といいます。特定遺贈の場合には、その遺贈を受けた人は原則として遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄をすることが出来ます。
本問の場合は、兄弟全員が遺贈を事実上放棄し、その後、兄弟間で遺産分割が行われたと考えられ、各人が取得したとおりに相続税が課税されることになります。遺言書があったからといって、何が何でもその通りに遺産を分割しなければならないというわけではない、ということです。