<第百十一回:問題と解答>
[出題日:2003.7.28(月)  解答発表日:2003.8.1(金)]

問題]
 A社は書店を営んでいる会社ですが、このたび支店を設け、その支店は翌期首より営業を開始することになっています。これに備えて当期中、支店用に、従業員用ロッカー(一個1万円、合計7万円)と二年分の包装用紙を購入しました。
 これらの費用は当期の損金に計上できるでしょうか。
             <出題者:ぽー>

[正解]
 すべて当期の損金にはなりません。
 従業員用ロッカーは、一個あたりの金額が1万円で少額減価償却資産に該当し、事業の用に供した事業年度においてその全額を損金とすることができます。本問の場合、購入しただけで、まだ事業の用に供してはいませんので、当期の損金とすることはできません。
 また、法人税法において、「消耗品で貯蔵中のもの」は棚卸資産とされています。包装用紙などの消耗品で、期末時点で未使用のものは、棚卸資産として資産計上する必要があります。
 なお、包装用紙などについては、それが各事業年度ごとにおおむね一定数量取得され、かつ、経常的に消費されるものであれば、その取得時に全額損金とすることが認められます。本問の場合には、二年分の使用料を購入したわけですから、各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得、とはいえませんので、取得時の損金とすることはできません。