<第十六回:問題と解答>
[出題日:2001.09.17(月) 解答発表日:2001.09.21(金)]
[問題]
OL美樹さんは休暇を取りヨーロッパに観光旅行に出かけました。ところが不幸なことにパリ市内を観光中にホテルに空き巣が入り、部屋に置いてあった現金(日本円換算レートで50万円)と現地で買ったばかりのエルメスのバック(日本円換算レートで50万円)とブルガリの時計(日本円換算レートで20万円)を盗まれてしまいました。こういう時は不幸が重なるもので、美樹さんの保険手続き上のミスで保険金も一切おりないと保険会社から連絡を受けて美樹さんは落ち込んでいます。この場合、美樹さんは税務上なにか救済を受けることができるでしょうか。
<出題者:TeaTIME>
[正解]
現金50万円とブルガリの時計については確定申告をすることにより雑損控除を受けられますが、エルメスのバックについてはなんら救済されません。
所得税法では、災害、盗難又は横領によって、資産について損害を受けた場合には、一定の金額を雑損控除として所得控除を受けることができます。雑損控除の対象になる資産は、生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産に限定されており、別荘や事業用の資産、それに書画、骨とう、貴金属で1組又は1個の価額が30万円を超えるものなどは当てはまりません。したがって美樹さんの場合、エルメスのバックは30万円を超えるため雑損控除の対象となりません。ただし、盗難の場合の雑損控除の金額は、(損失額−保険金などで補てんされる金額)−年間合計所得金額×10%で計算するため、保険金などで補てんされる金額や年間の合計所得金額が多いため雑損控除の金額がマイナスとなる場合には所得控除自体の適用がありません。