<第三十四回:問題と解答>
[出題日:2002.1.28(月)  解答発表日:2002.02.01(金)]

[問題]
 本庄さんは、本年11月に土地を5千万円で売却する契約を結び、相手から手付金として500万円を受け取りました。ただし残金の4,500万円は、相手方の資金調達の都合により、来年2月に受け取る約束になっています。この場合、譲渡所得の申告はどのようにすればいいですか。
@ 全額今年の所得として申告する
A 全額来年の所得として申告する
B 500万円は今年の所得、4,500万円は来年の所得として申告する

        <出題者:ナショナルキッド>


[正解]@またはA
 いつの年分の所得として申告するかということは、すなわち収益をどの時点で認識するかという問題です。不動産の売却手続は、実務的に見ると、まず契約が締結されてその時点で一定の手付金が支払われ、その後、残金の決済と同時に所有権の移転登記をするというのが一般的な流れです。つまり、契約の締結と資産の引き渡しに時間的にかなりのズレが生じるケースが多いため、このようなことが問題となるわけです。
 この点につき所得税は、原則として資産の引き渡し時点を収益の認識時期と規定しています。つまり、残金決済の年の所得として申告すればいいわけですが、契約時点で所得計上して税金を早く納めたい人にそれはけしからんと否認する理由もありません。そこで通達は「納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める(所基通36-12)」という取り扱いになっています。
 このように申告は、契約の年でも引き渡しの年でもどちらでもいいわけです。ただし、所得を二つの年に分割すると特別控除の二重適用などの問題が生じるため、Bは認められていません。