[問題]
個人事業者の山口さんは、金融機関から800万円の借金をしていましたが、事業に失敗し、その返済が出来なくなりました。
山口さんは無一文状態で、財産らしい財産は全くなく、収入の目処もありません。そこで山口さんは父親にお願いして、800万円全額を代わりに返済してもらいました。このとき、山口さんに税金は課税されるでしょうか。次の中から選んでください。
@ 山口さんには800万円の所得があったものとみなされ、所得税が課税される。
A 山口さんには800万円の贈与があったものとみなされ、贈与税が課税される。
B 何も課税されない。
<出題者:ぽー>
[正解] B
何も課税されません。
借金を他の人が本人に代わって弁済したときは、その本人はその返済額の利益を受けたことになり、弁済をした人からその金額の贈与があったものとみなされ、贈与税が課税されることになります。
しかし、財産がないためやむを得ず、あるいは道徳的義務として代わりに弁済が行われる場合には、課税するのが適当でない場合もあります。
そこで「債務者が資力を喪失して、債務を弁済することが困難である場合において債務者の扶養義務者によって当該債務の全部又は一部の引受け又は弁済がなされたとき」には、贈与とみなされる金額のうち、弁済するのが困難である部分の金額を限度として、贈与税はかからないことになっています(相続税法第八条)。ちなみに親族からの資金供与は、収入と認定されることはありませんので、所得税も課税されません。