<第五回:問題と解答>
[出題日:2001.07.02(月) 解答発表日:2001.07.06(金)]
[問題]
資産家の関口さんは、自分が所有する土地の一部について、次のような相続対策を考えています。
@ 自分の息子に只であげてしまう
A 自分が経営する会社に只であげてしまう
それぞれを実行した場合、誰にどのような税金がかかるでしょうか。
<出題者:ナショナルキッド>
[正解]
@ 贈与を受けた息子に贈与税がかかる
A 贈与をした本人に譲渡所得税が、贈与を受けた会社に法人税がそれぞれかかる
@の場合、贈与を受けた人はそれだけトクをしたのですから、贈与税がかかるのは当然です。ただしその贈与した資産について生じていた値上がり益の課税は未精算です。資産の値上がり益に対しては、譲渡所得税という名前の税金(土地や建物を売ったときに売却利益にかかる税金)がかかりますが、これは贈与税とはいわば異次元の話だからです。
そこで税法は、贈与があった場合には、贈与を受けた人に、贈与をした人のその資産の購入金額と購入時期を引き継がせ、二人の人があたかも一人の人であったかのように取り扱うことで、値上がり益に対する税金の精算を将来に持ち越すことにしています。たとえば父が1千万円で購入した土地を、時価3千万円になったときに息子に贈与し、息子が将来これを5千万円で売却したら、息子は5千万円から1千万円を差し引いた4千万円に対して課税されるということです。
これに対して法人に贈与した場合には、法人はその時点の時価を「受贈益」として処理し(つまり法人税がかかります)、その時価で資産の帳簿価額を計上します。したがって前の所有者の購入金額を引き継ぐということができません。このため、資産の値上がり益に対する税金を精算するために、個人が法人に対して財産を贈与した場合には、その時点の時価で譲渡があったものとみなして、その贈与をした人に譲渡所得税が課税されることになっています。お金をもらっていないのに譲渡税とは理解しがたい部分もありますが、間違いなく課税されますので注意が必要です。