<第六十九回:問題と解答>
[出題日:2002.9.30(月)  解答発表日:2002.10.04(金)]

[問題]
 河村さんは、永年勤めた会社を平成14年3月に退職し、その後郷里に戻って貸家を建築して同年11月よりアパート経営を始めました。河村さんの平成14年中の所得が次のようなものである場合、同氏が平成15年3月に確定申告するに際して申告書に計上しなければならない所得はどれとどれですか。
@退職時までの給料
A会社から受け取った退職金
B会社の持株会で購入していた株式を売却したことによる所得(源泉分離課税を選択)
C自宅の売却による所得(居住用財産の特例により税額は発生しない)
D貸家にかかる不動産所得
E定期預金の解約利息
            (出題者:ナショナルキッド)

[正解]@、C、D
 所得税は、すべての所得を合算して申告する「総合課税」を原則としています。ただしさまざまな理由により、他の所得とは区別して税額を計算する「分離課税」の対象とされるものがあります。
 Aの退職所得は、長年の勤務の結果が一時に実現するところから、その税負担を軽減するために他の所得とは区別して税額を計算します。しかも原則として源泉徴収のみで課税が完結するため、通常は確定申告の必要はありません。
 Bの株式の譲渡による所得は、事前に証券会社を通じて届出をすることにより、確定申告の手続をしないですむ「源泉分離課税」の適用を受けることができます。ただし平成15年以降は、分離課税ではありますが確定申告が必要となる「申告分離課税」に全面移行します。
 Eの預金利息は、所得税が15%、住民税が5%の合計20%が源泉徴収され、確定申告の対象とはならない分離課税制度が適用されています。
 なおCの居住用不動産の売却による所得は、三千万円特別控除などの適用の結果として納税額が発生しない場合でも、確定申告をしなければなりませんので注意が必要です。