<第八十六回:問題と解答>
[出題日:2003.02.03(月)  解答発表日:2003.02.07(金)]

[問題]
 Aさんの家族は父、母、兄、弟の4人でしたが、昨年の10月に父が亡くなりました。父には土地など億単位の遺産があり、すべて母が取得することで遺産分割協議が成立しましたが、相続税の申告書を提出する前に母が亡くなってしまいました(母自身は特に財産を持っていませんでした)。
 結局遺産は兄弟にいくことになるのですが、兄弟は「父の遺産を最初から兄弟で取得した場合と全然変わらないので、相続税の申告は、父から自分たちに遺産が直接渡った形で1回だけ申告、納税すればよいはずだ」と考え、母のことは一切考慮せず、そのように申告、納税することにしました。これは正しいでしょうか?


            <出題者:ぽー>

[正解]
 間違っています。
 相続により財産を取得し申告義務がある人が、申告期限前に申告しないで死亡した場合には、その申告しないで死亡した人の相続人はその申告、納税義務を承継することになっています(相続税法27−2)。
 本問の場合、父の遺産すべてを母が取得することで協議が成立しており、母は申告、納税義務があったことになるので、兄弟はまず、その母が負うべきであった申告、納税をしなければいけません。
 その次に兄弟が母から遺産を取得したものとして、また申告、納税をしなければならないというわけです。