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貸倒損失とは

取引先の会社が不渡りを出してしまいました。売掛金が300万円ほどありますが、これが回収できない場合、税務上の処理はどうなりますか。

回収できない債権は、貸倒損失として費用計上できます。

解説

1.倒産とは何か
不景気の昨今、倒産の記事が新聞紙上などを賑わせています。倒産とは一般に事業が不調となり、債務の支払が出来なくなって債権者等に迷惑をかける状態を指しますが、実はこの言葉は正しい法律用語ではありません。また税務上の取り扱いとしても、倒産の事実を客観的に把握することが難しいため、貸倒損失の費用計上を安易に認めると不当な節税行為が横行する温床となる危険性もあります。そこで現在では、取引先について生じた次のような状況をいわゆる倒産と認定し、その状況において有する債権についてのみ、貸倒損失の計上が認められることになっています。
①会社更生法等に基づく更生計画が認可決定され、債権額が切り捨てられた場合
②債権者集会の協議決定等により、債権額が切り捨てられた場合
③債務者の債務超過状態が相当期間継続している場合に、書面により債務免除を通知したとき
④債権の全額が明らかに回収不能である場合
したがって単に相手が支払ってくれないとか、潰れそうだというだけでは、貸倒損失を計上するわけにはいきません。

2.決算対策としての貸倒処理
もしあなたの会社が業績好調で多額の黒字が出そうなら、出来る限りの節税をしたいと考えるのが人情です。そこでその手段の一つとして、不良債権の整理(回収できない売掛金等を貸倒損失処理して利益を圧縮する)という方法が頭に浮かぶわけですが、上述のように、貸倒損失は本当に回収不能な金額でないと費用計上が認められません。
この場合の「本当に」とは、上記の条件のように、会社更生法等による法的な手続きが取られるケース、また法的手続ではないけれども債権者集会で協議決定されるなど第三者機関が介在するケースなどを指すわけで、要するに自分と相手との当事者だけの取引では基本的にはだめなのです。
ただし例外的に次の処理をすれば貸倒処理が認められることになっていますので、上手に利用したいものです。
①相手方に書面により債権放棄を通知する…決算期末までに相手方に対して内容証明郵便により債権放棄を通知します。ただしまだ回収できる金額なのに放棄をしたのでは、贈与(寄付)と認定されてしまいますので、相手方の債務超過が2~3年程度継続していることが前提となります。この場合、相手への通知が今期中でなければ今期の費用として認められない、という点には十分ご注意下さい。
②備忘価額を残して貸倒処理をする…相手との取引を停止して1年以上経過している、または遠方の取引先で債権の取り立て費用の方がかさんでしまうようなケースでは、相手に債権放棄を通知しなくても、支払を督促したが回収できないなどの事実があれば貸倒処理が出来ます。ただしこの場合には、相手から支払を受ける可能性が残っていますので、帳簿上そのことを認識するために備忘価額(1円でよい)を残さなければなりません。またこの取り扱いは通常の販売取引によって生じた売掛債権にのみ認められますので、貸付金などは対象になりません。

3.引当金の計上という方法もある
上記の他にも、貸倒引当金の計上による節税という方法もあります。これは決算期末までに貸倒れが確定したわけではないが、たとえば不渡りを出したために貸倒れとなることは間違いないというような場合に、債権額の一定割合を今期の経費に計上するものです。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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