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財務Q&A
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短期前払費用の取り扱い

今期の決算は利益が出そうなので、次のような節税策を考えています。これは認められますか。
①来年度1年分の店舗家賃を一括前払いする
②来年度に計画している社員旅行の費用を旅行会社に一括前払いする
③銀行からお金を借りて利息を支払い、その資金を預金にする

前払費用は、原則として、役務の提供を受けるまで経費に算入できません。
ただし一定の条件を満たす短期前払費用は支払時の経費とすることが出来ます。

解説

1.前払費用の原則的な取り扱い
前払費用とは、わかりやすく言うと、お金は支払ったけれどもその対価としてのサービスの提供を受けていないもの、ということになります。たとえば来月の家賃を今月中に支払った場合、今月末の段階では、まだ家屋の利用というサービスを受けていないのですから、前払費用になるわけです。
したがって前払費用は、当然のことながら、そのサービスの提供を受けるまでは経費にすることが出来ません。このため正しい経理処理としては、
①来月の家賃を支払った時点で
(借方)前払費用(貸方)現金預金という仕訳をし、
②来月末にサービスを受け終わった時点で
(借方)地代家賃(貸方)前払費用という振替処理をすることになるわけです。
しかし家賃などは毎月発生するものですから、このような面倒な処理をしても損益に影響が起きず、あまり意味がありません。したがって実務的には、毎月の処理の時点では支払額をそのまま地代家賃として経理しておき(つまり前払費用としては処理しない)、期末月に支払ったものについてのみ、翌期に繰り越すために前払費用への振替をするというのが一般的な処理方法とされています。

2.短期前払費用は経費処理できる
このように、翌期にサービスを受ける費用を今期中に支払った場合には、前払費用として今期の経費から除外するのが原則ですが、下記の条件を満たすものについてはその支払時に経費処理することが認められています(法人税基本通達2-2-14)。
①一定の契約に基づき継続的に役務を受けることとなっているものであること
②その支払った日から1年以内に提供を受ける役務にかかるものであること
③継続的に支払事業年度において経費処理していること
④収益の計上と対応させる必要があるものでないこと
したがって、たとえば家賃を1年分前払いした場合には、賃貸借契約は①の「継続的」な契約ですし、②の「1年以内」の条件も満たしますので、③の「継続的に経費処理する」という条件を満たせば、一括して経費に算入することが認められます。今回が初めての支払である場合には、来年以降も一括経費処理することを前提に経費処理が認められますが、前年以前は月次で支払っていたのに今回だけ一括払いをするというのでは否認される危険性が高くなります。注意が必要です。

3.経費にならない短期前払費用もある
短期前払費用であっても、前記の4つの条件のどれか一つでも欠く場合には、一括経費算入はできませんので、注意しなければなりません。たとえば質問にあるように、来期の社員旅行の費用を先払いしても、これはいわば単発の契約であり、継続的に役務を受けるものとは言えません。したがって旅行を実施していない今期において、経費に認められる余地はありません。また、借入金の利息を計上してその資金を預金した場合には、預金利息という収益と借入金利息とが対応関係にあると見られますので、利息が収益計上されるまで利息を経費に算入することはできません(前記④の条件)。
このように短期前払費用が支払時の経費として認められるためには、前記の4条件をクリアすることが必要です。ただし自動車の自賠責保険料などは、3年分を一括して支払うため1年以内という条件には抵触しますが、実務的弊害が少ないため、継続適用を要件として支払時の経費とすることが認められています。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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