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不動産の売却税務-短期と長期

7年ほど前に投資目的で購入した土地があるのですが、最近の経済情勢では今後値上がりしそうもありません。今回、資金が必要になりましたので、これを売却しようと考えていますが、その場合の税負担はどうなりますか。

不動産を処分して利益が生じると、所得税と住民税が課税されます。その税率は、売却資産の所有期間によって短期・長期の二つに区分されています。

解説

1.売却損益の計算方法
不動産の売却損益とは、要するにいくら儲かった(損をした)かを計算するのですから、今回の売却金額からその資産の当初の購入金額を控除して算出します。ただし建物のように時の経過とともに価値が減少していく資産は、所定の方法で減価償却費相当額を購入金額からマイナスしなければなりません。また、親から相続した土地のように購入金額がわからない場合は、売却金額の5%を原価とみなすことになっています。売買には仲介手数料や測量費などの経費がかかりますが、これらも損益の計算上、控除することが出来ます。

2.売却利益が生じた場合
上記の方法により計算した結果、利益が生じた場合には、一定の特別控除額など(次回以降でご説明します)を控除し、その残額に税率を乗じて納税額を算出します。その税率は、下記の表のように、売却不動産の所有期間が売却の年の1月1日現在で5年を超えるかどうかにより異なります。因みに、平成22年中の売却であれば、平成17年1月1日以降に購入していた不動産は「短期」、同日前に取得していた不動産は「長期」に区分されます。

区 分 所得税 住民税 納税額計算例(売却益1億円の場合)
短 期 30% 9% 1億円×(30%+9%)=3,900万円
長 期 15% 5% 1億円×(15%+5%)=2,000万円

このように、短期譲渡の場合には利益のほぼ4割、長期譲渡の場合には2割の税負担が生じることになります。いずれにしても大きな負担ですが、出来ることなら5年以上所有し続け、長期保有としてから売却したほうが納税額は少なくできます。

3.売却損失が生じた場合
不動産の売却金額が当初の購入金額を下回る場合、つまり売却により損失が生じた場合には、その損失は他の所得と通算することが出来ます。たとえば給与所得500万円のサラリーマンが、自宅を売却して1,000万円の損をした場合には、通算後のその年の所得はゼロになりますから、給与から納めた所得税は全額還付されますし、翌年の住民税もかかりません。不動産の譲渡損失のある方は、確定申告を積極的に利用しましょう。
ただしこの通算は、一定の自宅や事業用不動産などに限り認められ、別荘などのぜいたく品である不動産には適用できません。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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