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不動産の売却税務-居住用財産の税率軽減

住宅を売却した場合の税金は、三千万円控除によって軽減される他にも、適用される税率が引き下げられる場合があるという話を聞きましたが、本当でしょうか。私は10年ほど前に購入した住宅を売却して、今回約五千万円ほどの利益が得られそうなのですが、税負担はどの位になるのでしょうか。

居住用財産の売却益が特別控除額の三千万円を超える場合、その所得が「長期」であれば、適用される税率は通常の場合の半分程度になります。

解説

1.居住用財産について選択できる課税の特例
居住用財産を売却した場合、その売却資産の所有期間の長短によって、次のような課税の特例が受けられます。
①売却年の1月1日現在において所有期間が5年以下のとき(短期)→
売却益から三千万円の特別控除額が控除できますが、それ以外の特例の適用はなく、短期譲渡所得として課税されます。したがって特別控除後の利益金額の39%(所得税30%+住民税9%)が原則的な納税額となります。
②売却年の1月1日現在において所有期間が5年を超え10年以下のとき(長期)→
売却益から三千万円の特別控除額が控除できるほか、売却益が三千万円を超える場合には、長期譲渡所得として20%(所得税15%+住民税5%)の税率が適用されます。
③売却年の1月1日現在において所有期間が10年を超えるとき(長期)→
一定の条件を満たせば「居住用財産の買い換え特例(次項でご説明します)」の適用が受けられます。ただし買い換え特例の適用を受けない場合には、三千万円の特別控除額が控除できるほか、売却益が三千万円を超える場合に適用される税率も下記のように大幅に軽減されます。
譲渡益のうち6千万円以下の部分=14%(所得税10%+住民税4%)
同6千万円を超える部分=20%(所得税15%+住民税5%)

2.具体的な計算例
具体的な計算例で、たとえば住宅の売却利益が5千万円の場合に納税額がどの程度になるかを試算してみましょう。
①その住宅を取得してから5年以内に売却した場合
5,000万円-3,000万円=2,000万円
納税額=2,000万円×39%=780万円
②その住宅を取得してから5年を超え10年以内に売却した場合
納税額=2,000万円×20%=400万円
③その住宅を取得してから10年を超えて売却した場合
納税額=2,000万円×14%=280万円
このように、同じ住宅の売却利益でも、その所有期間の長短により実に3倍近い納税額の違いが生じます(因みに、上記①の短期譲渡のケースが住宅ではない一般物件であったとすると、三千万円特別控除の適用もありませんので、納税額は1,950万円(5,000万円×39%)にもなります)。不動産の売却時期は必ずしも自分の思い通りになるものでもありませんが、あと少しで5年(あるいは10年)を超える、というような状況であれば、なるべく長期保有としてから売却したほうが明らかに有利です。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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