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相続対策の必要性

私が死んだときに相続税で妻子を困らせたくないので、今のうちに対策を講じておきたいのですが、どんな方法がいいでしょうか。

相続税対策を始める前に、本当に対策が必要であるのかどうかを検討することが大切です。

解説

1.横行する「相続対策」
(1)相続対策の必要性
私は職業柄、「相続対策をしようと思うのですが」というご相談をときどきお受けします。そのような場合、私はまず「あなたが亡くなった場合にどのくらい相続税がかかるか試算したことはありますか」という質問をさせて頂くことにしています。そうすると、意外や意外、「NO」という答えが返ってくるケースが圧倒的に多いのが現実です。
理屈から言えば、①自分が死んだら相続税が1億円位かかるらしい→②それならそれをせめて5千万円程度に抑えたい→③そのためにはどうしたらいいか、というステップを踏むべきであることは明確です。しかし多くの場合において、思考回路は①相続税って高いらしい→②それならなんとかしなきゃ、ということになっているようです。
これは、世の中に間違った、あるいは誇大な情報が数多く氾濫していることに原因があるようです。さまざまな金融商品や投資資産などには必ずと言っていいほど「相続対策」という文字が使われますし、著名人の相続などにおいて多額の申告漏れが指摘されたというような新聞記事が後を絶たないからでしょうか。
しかし相続税という税金は、本当に高いものなのでしょうか。あなたの家で相続が起きたら、どのくらいの納税資金が必要になるのでしょうか。まずはこのことを早めに知ることが大切です。実際に試算してみて「相続税はかかりません」という結論が出たとしたら、対策をすることの意味は何もないのですから。

2.一つの事例
たとえば東京の杉並区に50坪の自宅を有するサラリーマンA氏を想定してみましょう。二十三区内に一戸建てを持ってるなんて資産家だ、と思いませんか。この方は、築後10年程度の居宅に妻と子供2人の合計4人で居住し、銀行預金を5千万円ほど所有しているとします。住宅ローンもないとすれば、確かにそれなりに裕福な、立派な家庭ということになるでしょう。
さてそのA氏が亡くなったとします。この場合、仮に自宅の路線価が坪当たり150万円程度としますと、遺産は次のように計算されます。

①自宅土地 150万円×50坪=7,500万円
②自宅建物 50万円×50%×40坪=1,000万円
③預貯金 5,000万円

②の建物については、実際には固定資産税評価額が課税対象額となりますので、ご自宅に来ている固定資産税の納税通知書に記載されている建物の評価額を調べていただければすぐにわかります。ここでは、仮に床面積が40坪で、建築費が坪当たり50万円であったものとして、固定資産税評価額は実際にかかった金額の半分程度なので、50%を乗じた金額を評価額としてみました。
以上から、A氏の遺産は総額1億3,500万円ということになりました。

3.相続税は意外に安い?
さて、この場合に相続税がいくらかかるかを考えなければなりませんが、まず相続税には基礎控除があります。その金額は、5千万円+1千万円×法定相続人の人数とされていますので、上記の事例では5千万円+1千万円×3人により、8千万円となります。
さらに亡くなった方が居住していた家の敷地は、240㎡以下の部分については、家族がそのまま居住を継続することを条件に80%引きとする特例(小規模宅地の特例といいます)が用意されていますので、①の土地は7,500万円×20%により1,500万円となり、課税される遺産の総額は7,500万円に圧縮されます。
したがってこの事例では、遺産額が基礎控除を下回ることとなり、相続税はかかりません(小規模宅地の特例を受けるために申告は必要ですが)。このように相続税は意外に安くなるケースが多いのです。まずはご自分のケースで、相続税がどのくらいかかるかを調べ、その結果により対策をどうするかを考えるべきでしょう。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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