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基準期間について

消費税では「基準期間」が非常に大切なポイントになるそうですが、そもそも基準期間とは何ですか。

その年度の2年前のことを基準期間といいます。
消費税は、基準期間の売上高で種々の重要な判定をすることになっています。

解説

1.なぜ2年前か
消費税を負担するのは消費者ですが、消費税法は、その税金を消費者から徴収して国等に納税する事務手続を事業者に義務づけています。したがってもしサラリーマンのあなたが脱サラをして商売を始めたら、従来の消費者の立場から、お客さんから消費税を頂く(預かる)立場に変わることになります。しかし商売を始めた人に、いきなりお客から消費税を徴収して納めなさいと言うことにも無理があることから、法律は零細な事業者とそれ以外をいわば子供と大人として区別し、子供の事業者(小規模事業者)は消費税を徴収しなくてもよいことにしています。消費税法はその大人と子供の境界を年商一千万円で区切っているのですが、それではどの時点の売上でその判定をするのがもっとも合理的でしょうか。
一番いいのは、その年の売上です。その年の売上が一千万円を超えるなら、立派な大人といえるのですから、お客様からも堂々と消費税を預かれます。しかし当然のことながら、その年の売上高はその年が終わってみないと分かりません。そこで仕方がないので、昨年の売上で今年の判定をしようという発想になります。しかし残念なことに、昨年の売上高が昨年の12月31日の時点でピタッと計算できる人は殆どいないでしょう。個人事業者であれば年が明けた2月から3月にかけてようやく確定申告となり、いわゆる決算をして初めて去年はいくらの売上だったんだということが分かるわけで、このことは決算期末から2ヶ月後に納税申告をする法人の場合でも同じことです。つまり昨年の売上でも、その年に一番最初にお客さんが来たときに、消費税を頂くべきかどうかの判定ができないのです。
このような事情から、二年前をすべての判定の対象とする「基準期間」という考え方が生まれました。随分のんびりしているようですが、売上高が一千万円を超えたら、その超えた年の二年後から消費税を徴収して納める義務が生じます。従って開業してから二年間は、基準期間がありませんので、原則として消費税を納める義務はありません(資本金一千万円以上の法人には例外があります)。

2.基準期間の売上を判定要素とする規定
このように基準期間という考え方は、事業者であるあなたにとって非常に重要な意味を持ちます。基準期間が影響する重要な規定は次の通りです。
(1)課税事業者の判定
上述のように、基準期間の売上高が一千万円以下であれば、国等に消費税を申告納付する義務がありません。したがってお客様から消費税を預かる必要もありません(免税事業者が消費税と称して販売代金を増やしたときは、単なる値上げと考えることになります)。二年前の売上高が一千万円を超えているときは、税務署に「消費税の課税事業者届出書」という書類を提出して消費税を納める旨を宣言し、顧客への販売代金に消費税を上乗せして納税することが必要です(課税事業者が消費税を転嫁しない場合でも、販売代金に消費税が含まれているものと考えますので、納税義務を免れるわけではありません)。
(2)簡易課税の選択
基準期間の売上高が一千万円を超えている事業者は、上述のように消費税を申告納付しなければなりませんが、その納税額の計算上、簡易課税という計算方法を採用することが出来ます。これは、売上に一定の率を乗じた金額を納税額とする方法で、その名の通り計算が簡易である、場合によっては納税額が本来の金額より少なくできるなどのメリットが生じる制度です。ただし簡易課税は、基準期間の売上高が五千万円以下の場合にのみ選択できる制度です。要件に該当し、しかも選択することにメリットがある場合には事前にその届出をしなければなりませんので、早めにその対応を検討することが節税の第一歩です。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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