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税務調査に備えて-その2

当社はまだ一度も税務署の調査を受けておりませんが、税務調査ではどのようなことを調べられるのですか。また事前にどのような準備をしなければなりませんか。

会社の調査でも、経営者の個人財産がチェックされるケースが多々あります。
決算整理の段階では、収益と費用の対応がしっかりできているかのチェックが必要です。

解説

1.税務調査で何が調べられるか
調査一日目では、既にご説明したように、オーソドックスな調査手法として直前期末付近の取引が重点的に調べられ、また人件費に関する資料チェックも行われます。
この時点で売上の計上漏れや経費の架空計上の事実が判明したような場合、税務職員は、脱漏資金の行方に興味を持ちます。というのは、税務調査は単に売上が漏れていたという事実を指摘しただけでは完了せず、その資金がどこにどのように流れたかの裏付けを取らなければ証拠を固めたことにならないからです。
そこで二日目以降に調べられるのは、個人預金です(会社の調査でも、個人財産まで調べられるケースが多いですから、事前に個人の預金通帳などを整理・用意しておく必要があります)。社長さんやその親族の個人預金通帳に、事業の取引先からの振込入金や小切手を資金化したような形跡があるのを発見したら、税務署員は心の中で「やった!」と叫ぶことでしょう。個人の口座を何らかの理由で事業に利用するような場合には、あらぬ疑いを掛けられぬようその区別に呉々もご注意下さい。

2.人件費は要注意項目
既に述べましたが、役員報酬や社員給与、またアルバイト代などの人件費は、金額が大きいだけに重点的な調査項目となります。名前だけの役員や仕事をしていない家族従業員、さらには実在したかどうかさえはっきりしないようなアルバイト社員などは要調査対象ですから、人を採用する場合には、必ず履歴書をファイルする習慣を付けて下さい。
また年末調整の際に記入をお願いしている扶養控除等申告書は必ず本人に自署させる、タイムカードを使用している事業所では全員分のカードを用意する、各従業員がどのような仕事をしているかを明確に説明できるようにする、などの点にご配慮をお願いします。

3.うっかりしやすい費用と収益の対応
我が社は脱税など一切していないから安心だ、と思っていても、意外なミスは生じやすいものです。たとえば次のような点は大丈夫でしょうか。
①慰安旅行を計画し、その代金を旅行会社に払い込んで「福利厚生費」として処理したが、実際に旅行に行ったのは次の事業年度だった。
②顧客から工事の仕事を受注し、その作業を下請先に依頼して外注費を支払ったが、この工事の代金を顧客に請求したのは次の事業年度だった。
これらは俗に「期ズレ」と呼ばれているもので、経費の計上だけが先行し、これに見合う売上の計上や役務の受け取りが翌期以降になってしまうケースです。①の場合には、旅行が実施されるまでは「前渡金」処理、②のケースでは下請先に支払った金額を仕掛品として計上することが必要です。
このように、決算期末までに売上と経費の対応が完了していない取引については、決算処理の段階で十分な検討をし、その期の経費から除外する作業を忘れずに行うようにしなければなりません。税務調査では、ある程度金額の大きな取引についてはこのような確認作業が行われますので注意が必要です。

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